声にできない“アイシテル”
 体育館で行われる始業式。


 全学年が集まるから、クラスの女の子達はうわさの先輩を一目見ようとキョロキョロ。


 私だけは大人しく前を向いている。


 式が始まるとさすがにみんな前を向いていたけど。

 終って解散になったとたんに、またキョロキョロ。



 それは私のクラスだけじゃなくて、学校中の女の子がそうだった。




―――もう知れ渡っているんだ。
   うわさって広まるのが早いなぁ。


 そんな事を思っていたら、前のほうに圭ちゃんの後ろ姿を見つけた。


 その横には見たことのない人が並んでいる。



―――あの人が“カッコいい”っていう先輩かな?


 よっちゃんが言ってた通り、背が高い。


 チラッと見えた横顔は、自分が想像していたよりも整っていた。




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