声にできない“アイシテル”
 けど、今の私にとってその話題はつらすぎる。


“そういうお話を読むと、恋愛は自分の手が届かないところにある物だって思い知らされるんです。
 話も出来ない私を好きになってくれる人なんていませんから”



 いつもより少し乱暴に書きつけたメモを押し付けるように渡して、私は司書室へと逃げ込んだ。






 司書の先生はまだ来ていなくて。

 薄暗い部屋に私一人。





 自分には恋愛が出来ないって、あきらめていたのに。

 とっくにあきらめていたのに。


―――分かっていたけど、つらいな。


 奥の壁にコツンとおでこをつけて、苦笑い。




 先輩が悪いわけじゃないから、八つ当たりもできない。


 ジワッと涙が浮かぶ。



―――泣くのは今だけだから・・・。



 この次先輩と会ったときは、これまでどおり接することができるように頑張るから・・・。
  





 私はその場にうずくまって、静かに涙を流した。
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