声にできない“アイシテル”
 ゴミ捨てを終え、教室へ戻りながら小山が話しかけてくる。


「桜井って他の女子には素っ気ないのに、チカちゃんとは普通に話せるんだな」 

「あー、そう言われればそうかも。
 あの子は俺の見た目で騒ぎ立てたりしないから、接しやすいかも」

「理由はそれだけか?」

「後は・・・、妹って感じだからかなぁ。
 あまり気を使わないで済むっていうか」

「へぇ」


 さっきから小山はずっと楽しそうだ。
 

 楽しそうって言うか、ニヤニヤしている。

 変な奴。



「何だよ?」

「別に~。
 ま、自分で気付けよ」

 そう言って、小山は一人で先に行ってしまった。





「はぁ?
 意味分かんねぇ」

 俺は頭をかきながら、遠ざかる背中に向かってつぶやいた。




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