声にできない“アイシテル”
「あなたみたいな人が桜井君のそばにいるのは許せない。
 話もできない欠陥人間のくせに。
 この、身の程知らずっ!!」

 完全に私を見下した口調。


 目の奥がジンと熱くなるのを必死で耐える。




「エリカ~。
 それはちょっと言い過ぎなんじゃないのぉ?」

 会長さんの後ろにいる4人が、笑いながら言う。

「言い過ぎ?
 そんなことないでしょ。
 だってこの子、泣いてないもの」


「あ、本当だぁ」

「っていうか、欠陥人間だから泣き方を知らないんじゃない?」

「あははっ。
 ありえる~」

 手をたたいて笑い転げる先輩たち。



 私は唇が切れるほど噛み締めた。

 ここで涙を見せたら、この人たちはもっと容赦のない言葉を浴びせてくるかもしれない。



―――大丈夫だもん。
   泣かないもん。


 必死になって自分に言い聞かせる。

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