声にできない“アイシテル”
 告白が終わっても彼女は瞬きもせず、じっと俺を見つめている。


「あの・・・。
 チカちゃん?」

 彼女の肩がピクン、と跳ねた。


「俺じゃ・・・ダメ?」

 恐る恐るたずねる。


 すると、プルプルと首を横に振った。

 そして急いでメモにペンを走らせている。


 書き終えたメモを、うつむいたままそっと俺に差し出した。



「えっと・・・。
“違うんです。
 好きな人の真剣な顔がすごく素敵で、思わず見とれていました”
 ・・・え?
 好きな人?!」


―――それって、それって・・・。


 震える指で俺はゆっくりと自分を示す。



 少し間があって。
 


 赤い顔をした彼女が、コクンとうなずいた。

 イチゴのように真っ赤な顔で。
< 137 / 558 >

この作品をシェア

pagetop