声にできない“アイシテル”
 やがて大きく息を吸い込んだ彼女は、一気に書き出す。

“先輩のこと、あきらめようって思いました。
 何度も、何度も、思いました。
 それでも、自分の気持ちは変えられなくて。
 悩んだけど、想いが通じないことを承知で好きでいることを続けました。
 恋愛は無理でも、片想いなら出来ますから”


「何、言ってんだよ。
 俺の言葉にウソはないから。
 だから信じて」

 彼女に肩に置いていた手にそっと力を込める。

「チカちゃんはいい子だよ。
 素直でかわいい、素敵な女の子だよ。
 だからもう、自分のことを悪く言わないで」


 彼女の瞳が柔らかく細められる。

“先輩の気持ちはすごく嬉しいです。
 ウソじゃないって分かってます。
 でも”


 彼女は少し前に書いたメモに戻り、『障害者』という文字の周りをグルグルとペンで囲む。




 そして、深いため息をついた。




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