声にできない“アイシテル”
 俺はそんな言葉を書く彼女が居たたまれなくなった。


「そんなはずないだろっ!!」

 ガシッと彼女の肩をつかむ。

「平気だなんて・・・。
 慣れるだなんて・・・。
 そんなはずない!!」

 感情のままに声を荒立てる。


「何度言われたって、傷付くに決まってる。
 心の痛みに“慣れ”なんて、ありえない!!」



 
 心の傷は消える事はない。


 後から、後から傷は重なって。

 どんどん深くなっていくんだ。



 どんなに時間が経っても、完全に癒えることなんてない。


 5年経った今でも、俺は、親によって傷つけられた心の傷がふさがっていない。




「君は平気なふりをしているだけだ。
 慣れるなんて、そんなのあるはずないっ!!」



 静かな図書室に俺の声が響いた。


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