声にできない“アイシテル”
 2学期の終業式を終え、チカと一緒に帰る。

 
「明日から冬休みかぁ」

“いよいよ受験も間近だね”

「そうなんだよ。
 少し気が重い」

“少し?
 余裕だねぇ”

「ん?」

“圭ちゃんは『プレッシャーに押しつぶされて、生きた心地がしない』って言ってるよ”

「ははっ。
 小山は結構小心者だからなぁ」

“ふふっ、そうかも。
 でも油断はダメだよ、アキ君”

「分かってるって」

 お互い目を見合わせて、小さく笑う。




 こんな風に、一文が短ければメモを使わなくても会話できるようになっていた。

 

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