声にできない“アイシテル”
「ただいま」
 

 家に入ると、そこかしこがクリスマスのディスプレイに彩られている。

 叔母さんがやったのかな?


「あら、晃君。
 お帰りなさい」
 
 リースや星型のオーナメントを持った叔母さんがリビングから顔をのぞかせた。


 手にしている飾りの量の多さにちょっと驚く。


「もしかして、家中を飾るつもり?」

「当然よ。
 どうせなら徹底的にやらないと、盛り上がらないじゃない。
 晃君も手伝って」


 俺よりもはしゃいでいる叔母さんに、思わず笑ってしまう。

「じゃ、何をすればいい?」


 叔母さんについてリビングに入ると、窓際に俺の背よりもはるかに高い大きなもみの木があった。


「このツリーが重要なのよねぇ」

 2人であれこれオーナメントを付けてゆく。


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