声にできない“アイシテル”
―――やっぱりそうか!

 でも、何で公衆電話から?

 いつもはメールなのに?



 理由はどうあれ、こうやって連絡してきたということは何か緊急事態なんだ。

「チカ、チカ!
 何があった?
 今、どこだ?!」


 そう言った自分の言葉に愕然とする。

 電話の主がチカだと分かっても、何も言えない彼女では居場所を伝えることが出来ない。



―――ああっ、くそっ!!

 イライラと部屋の中を歩き回る。


―――何か手がかりはないのか?!


 俺は耳を澄ませた。


 風で揺れる木の音がかすかにしている。

 彼女がいるところは木が多いらしい。



 だけど、それだけじゃ居場所を確定できない。


―――公衆電話があって、木がたくさんはえているところは・・・?


 俺が知る限り、そういう場所は5ヶ所ある。
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