声にできない“アイシテル”
―――分かってもらえなかった・・・。

 私はがっくりと肩を落とした。


―――ずっとこのままなのかなぁ。

 ジワッと涙が浮かぶ。


 怖いし、寒いし、お腹空いたし。

 どうしたらいいのか分からない。


―――誰か助けて。
   誰か、誰か・・・。


 ここでアキ君の顔が浮かんだ。


―――彼ならわかってくれるかも!!

 急いで番号をプッシュする。



 でも、番号を押す手を途中で止めた。


 時間は7時少し前。

 もしかしたら勉強してる最中かもしれない。


―――受験勉強の邪魔は出来ないよね。
 

 受話器をフックに戻した。


< 198 / 558 >

この作品をシェア

pagetop