声にできない“アイシテル”
かなりの時間呼び出した後、聞きなれた彼の声が届いた。
『もしもし?』
―――よかった、出てくれた!!
でも、私は何も話せない。
このままじゃ、お母さんのように電話を切られてしまう。
―――そうだ、何か音を出せば!
とは思ったけど。
すぐに家に帰るつもりだったから、今持っているのはお財布とつながらない携帯電話。
音が出せそうな道具なんてない。
―――どうしよう。
受話器を握り締める。
目に入ったのは震えている自分の手。
―――あっ。
私は急いで口話部分を指先でたたく。
爪が当たって、カツン、カツン、と無機質な音が電話ボックスに響いた。
『もしもし?』
―――よかった、出てくれた!!
でも、私は何も話せない。
このままじゃ、お母さんのように電話を切られてしまう。
―――そうだ、何か音を出せば!
とは思ったけど。
すぐに家に帰るつもりだったから、今持っているのはお財布とつながらない携帯電話。
音が出せそうな道具なんてない。
―――どうしよう。
受話器を握り締める。
目に入ったのは震えている自分の手。
―――あっ。
私は急いで口話部分を指先でたたく。
爪が当たって、カツン、カツン、と無機質な音が電話ボックスに響いた。