声にできない“アイシテル”
 少しの間、沈黙が流れる。



 そして・・・。

『・・・チカ?』


 半信半疑で彼が尋ねてきた。




―――分かってくれた!

 
 カツン、カツンッ!!


 私はさっきよりも強く爪でたたく。





『チカ、チカ!
 何があった?
 今、どこだ?!』

 あせったような彼の声。


―――あ・・・。


 電話をかけてきたのが私だと伝わったまではよかったけど。

 場所を知らせるのは不可能だ。


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