声にできない“アイシテル”
―――どうすればこの場所を伝えられるの?!


 ボックスの外では風が吹いていて、木が揺れている。

 きっとその音はアキ君に届いているだろう。


 だけど、それだけじゃ公園だってことに気付いてもらえない。



―――アキ君・・・。

 あふれる涙を左手でぬぐう。



 その時、私の顔に硬いものが当たった。

 この公園で彼からプレゼントされた指輪だ。


―――もしかしたら・・・。
   アキ君なら分かってくれるかもしれない!!

 急いで指輪をはずし、指先で持って口話部分に打ち付けた。





 ゴツッ。

 ゴツッ。


 鈍い音がする。



―――私はここだよっ。
   アキ君が誕生日に指輪をくれた公園にいるよ!!


 必死に祈る。

―――お願い、分かって!!
 

 黙りこんでしまった彼に向けて、何度も指輪をぶつけた。
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