声にできない“アイシテル”
「2人で頑張ろ」

 彼の声が頭の上から降ってくる。


 顔を上げると、そこには真剣な瞳のアキ君がいた。





「チカだけが頑張ってもダメだし。
 俺だけが頑張ってもダメなんだ。
 2人で一緒に頑張らないとさ」



 彼は私の前を歩くのでもなく。

 私の後ろからついてくるのでもなく。


 横に並んで進んでいこうと言ってくれてる。


―――こんなに頼もしい彼氏、他にいないよ。


 私は空いている手で涙をグイッとふく。

“うん、頑張るね”


 泣いて真っ赤になった目で、精一杯笑った。

 
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