声にできない“アイシテル”
 チカの気持ちが嬉しくって、思わず笑顔になる。

「うん、分かったって。
 もうこんなこと言わないから、泣き止んで」


 泣いて真っ赤になった瞳でじっと俺を見上げてくる。

“本当?”


「本当だよ。
 俺の自慢の彼女は素直なところがとりえだよ。
 だから、素直に信じて」
 

 チカの頭を軽くポンポンとたたくと、ようやく笑ってくれた。






―――ふぅ、驚いたぁ。


 前を向けば俺以上に驚いた顔のお母さん。

「桜井君・・・?」


「なんでしょう?」


―――あ、人前で大騒ぎした俺たちにあきれてるのかな?



 と思ったら、どうやら違うようだ。


「チカが何を言ったのか、分かったの?」


―――は?
   そんなことが聞きたかったのか?


 てっきり怒られると思った。
< 222 / 558 >

この作品をシェア

pagetop