声にできない“アイシテル”
 普段は俺を気遣って、ゆっくり短く唇を動かすのに。 

 さっきのチカは感情が爆発して、まるで俺と同じようなスピードで話していた。


 しかも、いつもの何倍も長いセリフを。


 それでも、俺には分かっていた。

 だから大きくうなずく。


「・・・全部?」

 確かめるように訊いてくるお母さん。


「はい、分かりました」



 それを聞いて、お母さんがまた驚く。

 目を開いて俺を見た。



 俺もチカも、どうしてお母さんがこんなことを訊いてくるのか。

 どうして会話をすべて読み取った俺に驚いているのか、理解できない。


 2人で首をかしげる。


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