声にできない“アイシテル”
 いつまでたっても何も言わないお母さん。


 俺は心配になって口を開く。

「あの・・・。
 俺、何か悪い事したんでしょうか?」



 はっと我に返ったお母さんが、あわてて返事をする。

「あっ、ううん、違うのよ。
 あなたには全部伝わっていたことに驚いたの。
 親の私でもチカが何を言ったのか分からないところがあったのに・・・」

 フフッとお母さんが笑う。

 チカとよく似た笑顔だ。


「それだけこの子に対して本気なのね?」

 じっと俺の目を見てくる。


「はい」

 俺はしっかりと見つめ返し、はっきりと返事をする。


 
「そう」

 ようやく落ち着いた表情に戻ったお母さん。


 穏やかに目を細めてチカを見る。 

「あなたの彼氏は見た目も中身も最高の人ね」


“もちろん!!”




 チカの言葉に照れくさかったけど、嬉しかった。
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