声にできない“アイシテル”
2章 小さな、小さな変化

伯母さん

 学校を出て、俺は途中にある本屋でしばらく立ち読み。

 そこで今日発売の漫画を買ってから帰宅した。
 

 俺を引き取ってくれた伯父夫婦は全国展開しているホテルのオーナー。

 自宅もホテルのようにでかい。


 子供のいない伯父夫婦は俺のことを自分の子供のように可愛がってくれていて。

 小さい頃からよく面倒を見てもらっていた。


 過去に何度も家に遊びに来ていたはずなのに。

 改めて生活するとなると、その迫力にビビる。



 広い庭には警備のためにドーベルマンを3頭、シェパードを2頭飼っている。


 子供のころから見慣れているとはいえ、帰宅するたびに犬達に一斉に囲まれると少し怖い。


 だけど、俺がここで暮らす事を彼らは認めたのか、絶対に噛み付いてきたりはしない。



 それどころか、遊んで欲しそうに俺の周りをぐるぐる回る。


「今日は遅いから、また今度な」

 1匹ずつ頭をなでてやった。




 動物は俺を裏切らないから好きだ。


 余計な言葉も話さないし。

 外見で人を判断したりしないから・・・。
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