声にできない“アイシテル”
「どんなに家が広くても。
 どんなに金持ちでも。
 チカがいないと俺は幸せになれないよ」


 そっとチカのほほに触れる。

「俺のことが好きなら、そばにいて。
 俺を不幸にしたくなかったら、離れていかないで」


―――ずっと、ずっと、俺と一緒にいて。



 じっとチカの瞳を見つめた。









 チカが泣きそうに笑う。


“もう・・・。
 それって脅迫だよ?”

 
「分かってる」

 俺も笑う。


「でも、脅迫だけじゃチカがかわいそうだから・・・」


 誕生日にあげた指輪の上に、俺は手を重ねた。



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