声にできない“アイシテル”
「そのかわり、夏休みにはたくさん遊ぼう」

“楽しみにしてるね”

「おう、期待しとけ」


 俺はチカの頭をそっとなでる。

「髪、ずいぶん伸びたな」


 ショートカットだったチカの髪が、半年経った今では肩に届いている。


「どうして伸ばしてるんだ?
 短いのも似合ってたのに」


“長い髪のほうが大人っぽく見えると思って。
 アキ君はますます素敵な男の人になってるから、少しでも釣り合うように”

 チカが照れたように笑いながら言う。


「そんなことしなくたって、チカは十分素敵な女の子だよ」


 つややかな黒髪をなでてやると、彼女は少し首をかしげて俺を見る。

“本当にそう思ってる?” 


「思ってる」


“本当に、本当?”

 しつこく確かめるチカ。


「本当だよ。
 俺の言葉を信用しないのか?」



“え、だって・・・”

 チカは少し目を伏せた。
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