声にできない“アイシテル”
「ようし、そういう疑り深い奴には・・・」


 頭から肩へと手を滑らせ、ぐっと抱き寄せる。

 あっという間に俺の腕の中に閉じ込められた彼女。


「ギューッてしてやる!!」


 チカが痛くない程度の力で抱きしめてやった。


 恥ずかしくて、手をばたばたと振り回して暴れる彼女。



「信用する?」

 顔を覗き込むと、赤い顔のチカがなんどもうなずく。


「分かればいいんだよ」


 くすっと笑って、力を抜いた。


 でも、チカはまだ俺の腕の中。

 2人寄り添って、お互いの体温を感じる。





 俺の隣にチカがいて。

 チカの隣に俺がいる。


 そんな日々がずっと続いてゆく。


 そう信じて。 
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