声にできない“アイシテル”
 昼休みに入って真っ先にすること。

 それはメールのチェック。

 チカからいつも何かしら送られてきているから。



「今日はなんて書いてあるかなぁ」


 ウキウキと携帯を開く。


『新しい靴を買ったよ。
 今度、この靴でデートしたいな』

 写真つきのメールが届いていた。


 早速返信。

【チカに似合いそうだね。
 休みの日は水族館でも行こうか?】


「送信っと」




 そこに携帯で話をしながら、先輩が休憩室に入ってきた。

「仕事が終わったら電話する。
 ん、じゃあ」

 嬉しそうな声。



「お疲れ様です。
 ずいぶん楽しそうでしたが、電話のお相手は彼女さんですか?」

「ああ、まぁな。
 そういうお前だって毎日ニコニコしてメール送ってるじゃないか」

「え、あ、はい」

 自分はそんなに顔に出ているだろうか。

 ちょっと照れくさくなる。



 この日はこんな軽いやり取りで先輩との話を終えた。

< 244 / 558 >

この作品をシェア

pagetop