声にできない“アイシテル”
そんなことを考えるだけでぞっとする。
きっと、今度こそ立ち直れない。
だから俺は申し訳ないと思いつつも、心の中で一線を引いている。
これ以上、親しくならないように。
大切な人を失う苦しみは、もう二度と味わいたくないから。
伯父さんも伯母さんも、こんな俺に気がついているだろうけど。
あえて何も言ってこない。
「もうすぐ順二さんが帰ってくるから。
そうしたらみんなで夕飯にしましょうね」
靴からスリッパに履き替えている時、伯母さんが言った。
「伯父さんが7時前に帰ってくるなんて珍しいね」
仕事で全国を飛びまわっている伯父さんは、月の半分は支社への出張。
出張のないときは本社で仕事をしているけど。
会議が長引いたり、接待とかで、早くても10時を過ぎてから帰ってくる。
「ほら、あの人今週はまだ一度も晃君とゆっくり話してないでしょ。
“そろそろ顔を合わせないと、忘れられるー”って言ってたわ。
急ぎじゃない仕事は明日に回したみたい」
手を口に当てて、くすくすと伯母さんが笑う。
きっと、今度こそ立ち直れない。
だから俺は申し訳ないと思いつつも、心の中で一線を引いている。
これ以上、親しくならないように。
大切な人を失う苦しみは、もう二度と味わいたくないから。
伯父さんも伯母さんも、こんな俺に気がついているだろうけど。
あえて何も言ってこない。
「もうすぐ順二さんが帰ってくるから。
そうしたらみんなで夕飯にしましょうね」
靴からスリッパに履き替えている時、伯母さんが言った。
「伯父さんが7時前に帰ってくるなんて珍しいね」
仕事で全国を飛びまわっている伯父さんは、月の半分は支社への出張。
出張のないときは本社で仕事をしているけど。
会議が長引いたり、接待とかで、早くても10時を過ぎてから帰ってくる。
「ほら、あの人今週はまだ一度も晃君とゆっくり話してないでしょ。
“そろそろ顔を合わせないと、忘れられるー”って言ってたわ。
急ぎじゃない仕事は明日に回したみたい」
手を口に当てて、くすくすと伯母さんが笑う。