声にできない“アイシテル”
「かっこいいですねぇ。
 見とれちゃいましたよ」

 今井さんが少し顔を赤くしながら言う。

「え?
 あ、どうも・・・」


 俺が戸惑っていると、マネージャーが苦笑交じりに教えてくれた。

「彼女は思ったことを口にしないと気が済まない性格らしい」


「だって、言いたいことははっきり言葉にしないと、相手に伝わらないじゃないですか」

 ちょっとすねたように言う今井さんの仕草は、幼い少女のようでほほえましい。


「ははっ、あんまりうるさいと嫌われるぞ。
 じゃ、あとは任せる」


 マネージャーは俺の肩をポンとたたいて、事務所へと戻っていった。



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