声にできない“アイシテル”
「ははっ。
 なんか伯父さんのほうが俺より子供だ」


 どんな表情で伯母さんに電話してきたのか、簡単に想像できる。

 俺は思わず声を出して笑っていた。





「・・・ねぇ、晃君。
 今日、学校で何かあった?」

 ふいに伯母さんが尋ねてきた。


「どうして?」

―――なんでいきなりそんな事を言ってくるんだ?



 俺は、何か変なことを言っただろうか?

 首を傾げる。



「なんかね。
 いつもと違って、顔つきが楽しそうで穏やかだから。
 いい事でもあったのかなと思って」


「え?」

―――顔つき?


 自分ではいつもと変わらないつもりでいたけど。
 




「ああ、言いたくなければいいのよ」

 伯母さんはにっこりと笑う。

「晃君だってお年頃だもんね」


 彼女はなにやら激しく誤解しているらしい。



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