声にできない“アイシテル”

恋愛のバランス

 目を覚ますと、明らかに自分の部屋とは違っていた。


 二日酔いってわけじゃないけど、ほんのり酒が残っていて。

 頭がぼんやりしている。


 普段はパジャマを着て眠るのに、今の俺は上半身はだかである。

 しかも下半身は下着一枚。


―――ここはどこだ?
   何で俺はこんなかっこうなんだ?


 ゆっくりとベッドに身を起こすと、隣にいた人物が身じろぎした。


「ん・・・」

 わずかにかすれた大人の女性の声。


「えっ!?」


 呆然としていると、その女性がこっちを向いた。
 

 乱れた長い髪。

 ゆるく崩れたバスローブ。


 今井さんだった。

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