声にできない“アイシテル”
「すいません。
 言い過ぎました・・・」


「ははっ。
 図星過ぎて、何も言い返せないや」

 俺は笑って頭をかいた。


「今井さんの言ったとおりだ。
 俺、甘えていたんだよ。
 自分ばかりが不幸だと思ってさ。
 昔は彼女が隣で笑ってくれれば、それで満足だったのに」


「よかったじゃないですか、別れを切り出す前に気が付いたんですから。
 さてと。
 私、シャワーを浴びたら帰りますね」


「あっ、今井さん」

 バスルームへと向かう彼女を呼び止める。


「はい?」

「いろいろごめん。
 それと、はっきり言ってくれてありがと」


 すると今井さんがにこっと綺麗に笑う。

「悪いと思っているんでしたら、また飲みに行きましょう。
 桜井さんがべた惚れのチカさんと一緒に3人で。
 絶対に会わせてくださいね」


「分かったよ」


 俺は苦笑しながらその申し出を了承した。
 


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