声にできない“アイシテル”
―――そんなに俺の顔は違ってるのか?

 少しだけ、一日を振り返る。


―――何かあったっけ?


 いつも通り、女子達の雑音がうるさかった。



 あっ。


 小山のイトコに会ったな。

 これまでにないタイプの女子だった。


 出来事といえば、そのぐらいか?




「別に。
 大した事もなかったけど」

 心当たりのない俺がそう答えると、伯母さんはわずかに目を見張る。



「・・・そう。
 変なこと訊いちゃってごめんなさい。
 食事の前に着替えてきたら?」


「分かった」


 俺は床に置いていたバッグと本を持って、2階奥の自分の部屋に向かう。





 その背中を、伯母さんは嬉しそうに見ていた。


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