声にできない“アイシテル”
 ある日。

 仕事から帰ると、珍しく叔父さんの方が先に帰っていた。

「あれ?
 叔父さん、今日は早いんだね」


 養子になって数年経つけど、つい『叔父さん』、『叔母さん』と呼んでしまう。

 本当は『お義父さん』『お義母さん』と呼ぶべきなんだとは思ってる。


 でも、長年のクセが抜けない。

 テレもあるし。


いつかはきちんと呼べるようになるといいんだけど。
 





「ああ。
 晃に大事な話があってな」

 リビングのソファーに座って俺を待っていた叔父さんが楽しそうに言う。


「話?」

 俺はスーツの上着を脱いで、叔父さんの向かいの席に腰を下ろす。


「晃君、お帰りなさい。
 待ってたのよ」
 
 叔母さんがコーヒーを運んできて、俺達の前に置く。

 そして叔父さんの横に座った。

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