声にできない“アイシテル”
―――待ってた?
  今日はなんか大事な日だったかなぁ。


 話の内容はぜんぜん見当が付かない。

 でも、2人の顔は明るくて、イヤな話ではなさそうだ。



 コーヒーを一口飲んで叔父さんの顔を見る。

 叔父さんは自分の横に置いていた大きくて白い2つ折のものを俺の前へと滑らせてくる。


「なに?」

「いいから、中を見てみろ」


 言われた通りに開いてみると、そこには艶やかな着物に身を包んだ女性の写真があった。

 にっこりと微笑むその人は、俺と大して年が変わらないだろう。



「あ、あの、これ・・・」

 写真から視線を上げた俺は、少し戸惑い気味に叔父さんを見る。


「見合い写真だ。
 もちろんお前のな」

 叔父さんがにっこりと笑う。

「俺に!?」


 この写真が見合い写真だってことは、誰だって分かる。

 ただ俺が戸惑っているのは、『どうして俺に見合いをさせるのか?』という2人の真意が測れないからだ。

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