声にできない“アイシテル”
「ちょっと待ってよ!」

 あわてて2人に割り込む。


「どうした晃?」

「とっても綺麗なお嬢さんでしょ。
 晃君にお似合いよ」

「まあ、綺麗だとは思うけど・・・」


 あいまいに返事をする俺に、叔父さんは小さく笑う。

「ああ、写真だけじゃよく分からんか。
 やはり実物じゃないとな」

「それなら会う段取りをつけましょ。
 明日にでもあちらに電話するわ」


「あ、だから!
 待ってってば!」

 再び話を進めてしまう2人を止めた。





 きょとんとした2人が俺を見ている。

「都合が悪いのか?
 確かに仕事は立て込んでいるが、そう無理でもあるまい」

「会って、お食事するだけだもの。
 仕事に影響するほど時間はとらせないわ。
 大丈夫よ」


「そうじゃない。
 仕事とか時間の都合じゃなくて、俺に見合いは必要ないってこと」

 静かに閉じた写真を押し戻す。
< 278 / 558 >

この作品をシェア

pagetop