声にできない“アイシテル”
「こんなに素敵なお嬢さんを何で断るんだ?
 ・・・もしかして、すでに結婚を考えている女性がいるのか?」

「晃君、そうなの?」

 尋ねられて、俺は正直に大きくうなずく。
 

「あ、あら、そう。
 ごめんなさいね。
 勝手に話を進めちゃって」

 叔母さんが苦笑いをしながら、写真を手元に引き寄せる。


「いや、別にいいよ」

 俺も苦笑いを返す。



「それで、晃。
 お前の今の彼女はどんな人だ?」

 叔父さんが興味津々で身を乗り出してくる。


―――は?

 叔父さんの発言と行動に、俺は首をひねった。


 そこへおばさんが追い討ちをかける。

「もう、何で紹介してくれなかったのよ。
 もちろん、すぐに会わせてくれるわよね?」

―――え?


 俺は2人が言っている意味が分からなかった。


< 279 / 558 >

この作品をシェア

pagetop