声にできない“アイシテル”
「顔合わせも何も、チカのことは知ってるだろ。
 まったく、何言ってんだよ」

 俺はソファーの背にドサリともたれて、クスクスと笑った。


 それとは反対に、2人の顔が固くなる。

「・・・まだあの子と付き合っていたのか?」

 なぜか叔父さんが動揺している。


「別れたんじゃなかったの?!
 もう長いこと、この家に連れてきてないじゃない」
 
 叔母さんの口調は、まるで『チカと今でも付き合っていることがウソであって欲しい』と言うような感じだ。


「別れてないよ。
 チカはずいぶん前から一人暮らしをしてるんだ。
 だからこの家に呼ばなくても、俺が行けばすむことだし」


 ちょうどチカのことが話題になったから、いい機会だとばかりに俺は話を切り出した。

「いずれチカと結婚するから。
 2、3年以内って考えてる」



 と言ったとたん、叔父さんがものすごい勢いで怒り出した。

「そんなのはダメだっ!!」



「・・・え?」

 あまりの語気の強さに俺はあっけにとられてしまう。



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