声にできない“アイシテル”
「あの子はお前の妻にふさわしくない。
 結婚なんて、絶対にダメだ!!」

 テーブルにこぶしを打ち付ける。

 ダンッ、と音がして、のせてあるコーヒーカップがカチャカチャと揺れる。


 こんなに激しく怒りをあらわにする叔父さんを初めて見た。

「叔父さん、どうしたんだよ。
 何でそんなに怒ってるんだよ?」

 助けを求めて叔母さんに目を向けると、同じような表情をしていた。



「どうして・・・?
 俺達のこと、認めてくれていたんじゃないのか?」


「付きあいは認めたが、結婚は認めん」

 はぁ、と苦いため息をつきながら叔父さんは首を横に振る。


「なんでだよっ!?
 初めてチカをつれてきた日も、それからも。
 彼女に良くしてくれていたじゃないか!!」

 俺は2人をにらみつけた。

 

 俺達の間に沈黙が流れる。



 
 少し経って。

 叔母さんが苦々しく口を開いた。

「・・・いずれ別れると思っていたのよ。
 学生の頃の恋愛なんて、その時の勢いみたいなものだから。
 大人になって冷静になれば、晃君は他の女性に目を向けるだろうって思っていたの。
 何一つ障害のない、健全な女性を好きになるだろうって」
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