声にできない“アイシテル”
 チカと肩を寄せ合いながら、テレビを見ている。

 ふと画面から視線をはずすと、壁にかけられたカレンダーが目に入った。


「そうだ。
 俺、あさってから出張なんだ」

 見合いのことでバタバタしていて、チカに言うのを忘れてた。


“どこに行くの?”

「ロサンゼルス。
 系列ホテルの視察って感じかな」


“アメリカかぁ。
 チョコレートがおいしいんだよね。
 安いのにけっこう味がいいんだよ”

 甘いものが好きなチカ。

 特にチョコレートには目がない。


「よし、お土産はチョコに決定。
 一週間で帰ってくるから」

“気をつけて行ってきてね”


「日本に戻ってきたら、すぐお土産渡しに来るよ」

“え?
 いいよ、疲れてるだろうし。
 自分の部屋でゆっくりしたら?”


「なんだよ。
 俺に会いたくないのか?」


 チカの気遣いは分かってるけど、わざとらしくすねてみる。




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