声にできない“アイシテル”
“アキ君、それは大げさだよ”

 結構本気で言った俺に、チカはおかしそうに笑っている。


「大げさじゃないって。
 俺、チカがいないとダメなんだ」

“もう、そんなこと言って。
 お仕事はきちんとしてきてよね?”

 俺の目を覗き込みながら、チカが言う。


「分かってますって。
 じゃ、仕事を頑張ったご褒美に会いに来ていい?」


“・・・しょうがないなぁ。
 アキ君の好きなロールキャベツを作って待ってるよ”
 
 苦笑するチカ。


「絶対だぞ。
 10月5日は何があってもこの部屋にいろよ?」

 俺はきっちり念を押す。


“私はどこにも行かないって。
 ちょうど話したいことがあるから、私も会いたいと思ってたし”

「話?
 今すれば?」




“今はダメ。
 ・・・まだ自分の中で迷ってるから”

  
 チカが真剣な目をしたから、俺はそれ以上訊くのをやめた。



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