声にできない“アイシテル”
『もし金も仕事もなくなったら、俺のこと嫌いになる?』


 いきなり彼が切り出した言葉。


 その時は何のことか分からなかった。



 でも、今ははっきり分かる。

 叔父様たちとの話があってのセリフだったということが。


―――あのセリフにこんな重大な意味があっただなんて。



 私は彼の愛情を実感するとともに、何もかも捨てる覚悟のアキ君に申し訳なくなった。


―――私一人のために、そこまでしてくれなくてもいいのに・・・。


 彼を悩ませてしまったことが、ほんとに申し訳なくって。



―――アキ君、ごめんね。


 心の中で何度も謝る。










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