声にできない“アイシテル”
 俺の顔にしか興味が無いくせに


『あなたの事が、心の底から好きなの』


 なんて言われても、信用できるかっての。

 ばかばかしい。



『あなたが一番大切よ』

『愛してる』

『ずっとそばにいるから』



 そんな言葉、上辺だけだ。


 どうせ、いつかは俺の前からいなくなるに決まってる。

 俺の両親みたいに。





 小学6年生だった5年前。

 ちょうど今と同じ季節。

 俺を残して自殺してしまった父親と母親。



 その日の朝までは、これまでと何一つ変わらなかった。


 学校生活をなにかと気にかけてくれていた父親。
 
 笑顔で送り出してくれた母親。



 それが。


 学校から帰ってくると、何もかもが一変していた・・・。
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