声にできない“アイシテル”
 叔母様は視線を私に戻し、強い意志のこもった光を私に向ける。

「だから、なにがあってもこの会社をつぶすようなことはできないの」


 揺るがない気持ち。

 少しも後には引かない主張。


 副社長として。

 晃君の母親として。


 譲るわけにはいかないという強い思い。


「お願い。
 チカちゃんから別れを切り出して」



 
 これが頭ごなしに、『あなたはふさわしくないから別れなさい』ということだけだったら、話の途中で席を立ったかもしれない。

 
 私だってアキ君が好きだから、一緒にいるのだ。

 愛しているから、今までそばにいたのだ。


 簡単に『はい、そうですか』と従うような軽い気持ちじゃない。
 
 

 だけど、叔母様の話はそうじゃなかったから。


 叔父様と叔母様が会社を、従業員を。

 そして何よりアキ君を大切にしているのが痛いほど伝わってきたから。



 私が出すべき答えは1つしかなかった。 
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