声にできない“アイシテル”
「・・・恨んでもいいのよ」


 2、3歩進んだところで後ろから声をかけられる。

 ゆっくり振り向くと、まっすぐに私を見ている叔母様の視線とぶつかった。



「ひどいことをしてるって分かってるわ。
 私のした事を許してもらおうなんて思っていない。
 あなたに一生恨まれても仕方がないと思ってる。
 でも、こうするしかなかったの・・・」

 叔母様の唇が震えている。

 必死で気丈な振りをしているんだ。


 私は小さく首を横に振る。

“そんな風に言われたら、恨む気になれませんよ。
 アキ君を誰よりも大切に思っているお2人の気持ちはこちらに伝わってますから。
 私なら大丈夫です”

 ゆるりと微笑みを浮かべる。


“では、もう行きますね”


 歩き出そうとした私は、ふと足を止めた。

 叔母様に向き直る。



“あの・・・。
 最後にお願いがあります”


 
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