声にできない“アイシテル”
 涙が止まらない。

 感情の押さえがきかない。


 私の声なき声が嗚咽とともに溢れてくる。 


「―――っ!
 ―――っ!!」


 大声で泣きわめこうとしたって、声なんか出やしない。


 隣の人にも迷惑はかからない。

 誰にも気付かれない。



―――アキ君っ!
   アキ君っ!!


 その晩、彼の名前を何度も叫びながら私は泣き明かした。











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