声にできない“アイシテル”
 それから、アキ君がこの留学を知っているのもウソ。


 私を応援してくれているのは間違いないけど。

 このことは彼にはまだ話してなかったから。


 この留学を機にアキ君と別れるつもりだなんて、彼はまったく知らない。



―――私がいなくなったことを知ったら、アキ君は怒るかな?


 それともあきれる?


 どっちにしても関係ないか。

 もう、会わないんだし・・・。




 ふう、と息を吐いた。

 私の視界が揺れている。


 いつの間にか泣いていたみたい。





 人に見られないうちに、急いで涙をぬぐう。


 その時、左手の薬指にはめているリングが目に入った。


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