声にできない“アイシテル”
 叔母さんに謝りの電話をして、チカのアパートに車を走らせる。


 助手席にはお土産のチョコレート。

 両手で抱えるほど買ってきた。


「喜ぶだろうなぁ」

 それより、“こんなにあるの!?”と驚くかな。


 まぁ、どっちの顔も俺にとっては楽しみだ。




 チョコが入った袋を手に部屋のチャイムを押した。


 いつもならすぐに扉が開くのに。

 いつまで経っても扉は閉じたまま。


「あれ?」

―――今日、会う約束してたのに。


 もう1度チャイムを押す。

 やはり誰も出てこない。


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