声にできない“アイシテル”
「買い物に行ってるのか?」


 仕方ない。
 
 しばらくここで待ってみるか。


 そう思った時、隣の住民が帰ってきた。


「あら。
 もしかして203の大野さんに御用ですか?」

「はい、そうですけど」

「今はいませんよ。
 引越しされたので」

「え?
 引越し?」

「はい。
 荷物を運び出してましたから」

「そうですか・・・」


 俺はその人に頭を下げて車に戻る。


―――引越しするなんて聞いてないぞ。


 チカに何かあったんだろうか。

 急に体調でも崩して、一人暮らしが無理になったのか?


 でも、そんな連絡は来てないし。
 

 とりあえず、チカの実家に向うことにした。



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