声にできない“アイシテル”
「なら、その手紙はどう説明をつけるんだ?
 あの子に別れるつもりがないなら、なぜ荷物を送りつける?」

 叔父さんはまっすぐに俺を見る。


「それは・・・」

 言葉に詰まってしまった。


 言い返すセリフが見つからず、視線が床に落ちる。


 チカがどういうつもりで書いたのか、さっぱり分からない。

―――本当に書かれている通りなのか・・・?!


 俺は大きく首を振る。

―――馬鹿な。
   そんなこと、あるわけないじゃないか。


 だけど、きっぱりと否定することも出来ない。

 真相を尋ねようにも、チカがいないのだ。


 手の中で便箋が音を立てて握り締められる。


―――チカ・・・。





 がっくりとヒザを折った俺の肩に、叔母さんがそっと手をかける。

「帰国して間もないから疲れているんでしょ。
 今日はもう寝たら?」

「・・・そうする」


 ソファーの背に掴まりながら立ち上がり、ふらつく足でリビングを出た。

< 341 / 558 >

この作品をシェア

pagetop