声にできない“アイシテル”
 そのままごろりと横になる。

―――何があったんだよ・・・。


 ぼんやりと部屋の中を見回す。

 視界の隅にチカが送った箱が映った。


「・・・そうだ」

 俺は急いでその箱をひっくり返す。


 入っていたものを一つ一つ丁寧に調べる。

 念のために包装紙も。


 何度確かめても、俺が探していたものは出てこなかった。


「やっぱり・・・」

―――あの指輪がない。


 チカが俺と別れるつもりなら、必ずあの指輪を返すはず。

 それが送られてこなかったってことは、チカがまだ持っているということ。

 俺を嫌いになった訳じゃないということ。



―――チカはまだ俺を好きでいてくれている。

 そう思うだけで、前に進む力がわいてくる。



「チカ、待ってろよ。
 絶対に探し出してやるからな」

 脳裏に浮かぶ彼女の笑顔に、固く誓った。

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