声にできない“アイシテル”
「滞在中に何度も見かけました。
 おそらくこのあたりに住んでいるはずです」

「ありがとう!」

 俺は思わず今井さんの手を強く握り締める。


―――やっと見つけた。
   これでチカを迎えにいける。


 嬉しさに体が震える。



「彼女さんと無事に帰国なさったら、また飲みに行きましょう。
 いい報告をお待ちしています」

 今井さんがにっこりと微笑んで、励ましてくれた。








 今井さんを見送ったあと、携帯を取り出す。

「もしもし、俺だ。
 第3小会議室に来てくれ」


 電話の相手は直属の秘書である横山。

 俺の極秘計画の協力者。



 会議室の扉を開けると、すでに彼がいた。


「いよいよですか?」

「ああ」


 短い会話でお互い通じ合う。

 横山も今井さんと同じく、俺とチカの味方。
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