声にできない“アイシテル”
 イギリスについてすぐ、●●街行きのバスに乗った。


―――あと少しでチカに会えるんだ。


 会ったら最初に何を言おうか?

 それともいきなり抱きしめようか?


 一番後ろの席に座り、まもなく実現する再会に胸を弾ませる。



 いよいよバスが出るといったところで、一人の女性が乗り込んできた。


 少し浅黒い肌とエキゾチックな顔立ち。

 中東あたりの出身なのだろう。


 彼女は布に包まれた荷物を大事そうに抱えている。


―――なんだろ?
   赤ちゃんかな?


 そう思った俺の予想は、直後に大きく外れたことを悟る。



 仁王立ちした女性がその布をバッと取り去ると、そこに現れたのは束ねられたダイナマイトだった。




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