声にできない“アイシテル”
 私達はこのあたりで活動しているボランティアグループに参加している。

 災害があったり、大きな事故があった時はその場所に行って、簡単な手伝いをするのだ。



 現場に着くと、グループリーダーのジェシカさんが忙しそうに働いていた。


 話によると、爆発があったところは日本人観光客が多くいたようで。

 同じ日本人の私達の手伝いが必要だったらしい。


 裕子さんと一緒にケガ人が一時的に運ばれている近くの教会に急いだ。


 教会の中は騒然とした雰囲気で、消毒薬のにおいが漂っている。

 ケガをした人があまりに多くて、地元のお医者さんのほかにボランティアの医療チームも駆けつけた。


 

 私は軽症の人が寄せられている所に行って、体を冷やさないための毛布や飲み物を配る。


 そこでいきなり、後ろから肩をたたかれた。


―――だれっ?


 びっくりして振り向くと、もっとびっくりした。

 立っていたのは私の知っている人だったから。



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